札幌高等裁判所 昭和42年(ネ)279号 判決 1968年5月30日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
<全部省略>
理由
当裁判所は控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと判断するものであって、その理由は次のとおり付加訂正するほかは原判決の理由中の説示と同一であるから、これをここに引用する。
原判決一五枚目表二行目の「到底期待できない」は「期待し難い」と同行目及び末行目の「違法性認識の可能性」は各「職務義務の懈怠」と訂正する。
国家賠償法第一条による国又は公共団体の賠償責任が公務員の故意又は過失に基づく加害行為を前提としてその責任を代位するものであることは、上記条文からも明らかであって、これに民法第七一五条のような免責の規定がないことから直ちに控訴人主張のような国又は公共団体の自己責任を定めたものと解することはできないばかりでなく、民法第七一五条の被用者については勿論同法第四四条の法人の責任負担の場合と雖も当該機関の行為に一般の不法行為の要件の存在を必要とするのであって、国又は公共団体の前掲損害賠償責任が担当公務員の故意過失を問わずその公務運営上の瑕疵により発生するとする控訴人の見解は、国家賠償法第一条の解釈上いまだ採用することができない。従ってこの点に関する控訴人の主張も理由がない。
よって控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当で本件控訴は理由がない。
…以下省略…。